業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う都民の外出自粛要請等に伴い、大きく売上が落ち込んでいる都内中小飲食事業者が、新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める場合、その経費の一部の助成を受けることができる制度です。
対象となる事業者
対象は、東京都内で飲食業を営む中小企業者(個人事業主含む)です。「飲食業を営む」の定義は、「注文に応じその場所で調理した飲食料品を提供し、飲食可能なスペースを有する事業所で、新たに「テイクアウト」「宅配」 「移動販売」を始める者」となっています。ざっくり言うと、実店舗で営業している普通の飲食店ですね。
助成金額
助成率は助成対象経費の4/5以内(千円未満切り捨て)で、助成限度額は100万円です。つまり、最大125万円までの経費に対して、その4/5まで助成を受けられます。
助成の対象となる経費は、
- 販売促進費(印刷物制作費、PR映像制作費、広告掲載費 等)
- 車両費(宅配用バイクリース料、台車 等)
- 器具備品費(WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材 等)
- その他(宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料 等)
などです。
販売促進費
販売促進費としては、
- 印刷物製作費
- 広告掲載費
- PR映像制作費
- WEBサイト等制作委託費
- 看板等の製作費等
などが対象となります。
印刷物製作費としては、チラシやポスター等印刷物の制作委託費経費として限度額30万円まで計上できます。
広告掲載費としては、チラシ折り込み、新聞、雑誌、DM、WEB広告への広告掲載費として限度額20万円まで計上できます。販売促進はSNSで行う場合が多いかと思います。その場合、無料で告知できますが、TwitterやFacebook、インスタグラムなどにも有料広告を出して自店SNSのフォロワー以外にも広く告知することができます。その費用も助成の対象となります。
PR映像制作費としては、動画の制作委託費として限度額20万円まで計上できます。
WEBサイト等制作委託費としては、新たに取り組むテイクアウトや宅配、移動販売のPR を目的とした既存WEBサイトの変更や新規WEBサイトの制作委託費として限度額50万円まで計上できます。予約受付システムの導入費用についても対象となります。
看板等の製作費等としては、看板・POP・のぼり制作費として限度額20万円まで計上できます。
車両費
車両費としては、
- バイク・自動車
- その他の車両
などが対象となります。
バイク・自動車としては、デリバリーバイク等のリース・レンタル料が対象となります。車両の購入費用は対象となりません。
その他の車両としては、自転車、リアカー、台車のリース・レンタル料または購入費として限度額20万円まで計上できます。
デリバリー代行サービスに任せず自力でデリバリーを始める場合に使えますね。
器具備品費
器具備品費としては、
- 通信機器・サービス等
- 梱包・包装資材等
などが対象となります。
通信機器・サービス等としては、インターネット通信環境の整備(WiFi 等)の初期導入費(機器本体購入費や、設置工事費等)またはリース・レンタル料など通信環境設備導入費として限度額10万円まで計上できます。
他にも、タブレット端末、カード読み取り機(QR コード、クレジットカード、電子マネー決済ができる機器)、レジプリンター等の購入やリース・レンタル料として限度額15万円まで計上できます。
また、インターネット通信費も対象となります。
これらは、当然、宅配代行サービスの利用等、新たな取組を実施する際に必要なもののみが対象となり、関係ないものは対象外です。
梱包・包装資材等としては、はし等の食器類、包み紙、手提げ袋、おてふき、ナイロン手 袋、調理器具等の購入費用として限度額15万円まで計上できます。商品が売れたときの利益率の改善が見込めますね。
その他
その他には、
- 各種手数料
- 工事費
などが対象となります。
各種手数料としては、宅配代行サービスを利用する際に発生する初期登録料、月額使用料、配送手数料等が対象となります。UberEATSの手数料は35%ほどかかるので、その4/5が助成されるとなると実質7%程度の負担となります。
また、新たに移動販売等を行う際に必要となる、営業・販売・製造等の許可取得手数料も対象となります。
工事費としては、店舗等内装工事費や移動販売用の車両制作・改造費、車両に設置する器具設備費として限度額50万円まで計上できます。
要件
申請に当たっては、以下の(1)~(5)のすべての要件を満たす必要があります。
- 当事業が規定する中小企業者に該当すること(資本金5,000 万円以下または従業員数が50人以下の会社及び個人)
- 東京都内で飲食事業を行う法人または個人事業主
- 1期以上の決算を経ており、税務署に確定申告済みで受付印のある直近1期分の確定申告書の 写しが提出できること(1期に満たない場合は代表者の直近の源泉徴収票または所得税納税証明書)
- 保健所の許可(必要となる食品関係許可)を取得しており、各許可書等の写しが提出できること
- 次のすべてに該当するもの
- 助成対象として申請した内容(経費)に関して、公社・国・都道府県・区市町村等が実施する他の制度(補助金等)から支援を受けないこと。
- 同一年度の本事業への申請は、一事業者につき一回であること
- 東京都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っていないこと
- 過去に公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受け、不正等の事故を起こしていないこと
- 事業税等の滞納がないこと(分納期間中も申請できません)
- 「東京都暴力団排除条例」に規定する暴力団関係者又は遊興娯楽業のうち風俗関連業、ギャンブル業、賭博等、社会通念上適切でないと判断される事業を行っていないこと
- 民事再生法又は会社更生法による申立て等、助成事業の継続性について不確実な状況が存在しないこと
- 助成事業の実施に当たって必要な許認可を取得し、関係法令を遵守していること
- その他、公社が公的資金の助成先として適切でないと判断されるものでないこと
- 申請に必要な書類をすべて提出できること
色々と条件がありますが、要するに東京都内で飲食店を営業していることを証明できる書類を提出できればよいようです。
申請方法
公社 web サイトから申請書をダウンロードし、以下の添付書類と併せて提出します。
- 履歴事項全部証明書【原本】又は開業等届出書【写し】
- 納税証明書【原本】
- 直近1期分の確定申告書【写し】
- 食品関係営業等の許可書(現在取り扱う食品の種類、営業の形態に応じたもの)【写し】
- 申請金額根拠資料【写し】
申請期間は次の通りです。予算額に達した場合は、受付期間中であっても終了するので、できるだけ早く申請しておきたいです。
申請後、テイクアウトや宅配事業を行い、その後、次の手続きを行います。
- 助成対象経費報告(実績報告書)の提出 (終了後、速やかに提出)
- 完了検査 (実績報告提出後、調整の上で決定)
- 助成金額の確定 (完了検査から2~3週間程度)
- 助成金の請求
テイクアウトや宅配事業は、自身で終了時期を決めない限りずっと続けることになりますが、助成対象期間は、交付決定日から令和3年1月31日(日)までの内、最長3ヶ月間です。 この期間内に契約・実施・支払いが完了する経費が助成対象ですので、開始から3ヶ月後を実施の終了日とし、実績を報告することになります。
なお、申請前にすでにテイクアウトや宅配事業を始めてしまっている場合でも、令和 2 年4月1日以降に発生した経費も契約・支払いの確認(契約書や発注書、領収書等) ができれば対象とすることができます。
まとめ
申請書には助成経費の計画を記載する必要があります。計画に記載していない経費や記載した以上の金額が発生した場合、その部分は助成対象とはなりません。また、予算額に達した場合は、終了してしまいます。できるだけ早く計画を立てて申請しておきたいです。
公式の募集要項の確認や申請書のダウンロードは、公益財団法人 東京都中小企業新興公社のホームページから行えます。