ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、略称「ものづくり補助金」としても知られています。新型コロナとは関係なく、普段から新製品・サービス開発や生産プロセス改善等のための設備投資等を支援する補助金です。
今回、新型コロナ対策として補助率を引き上げた「特別枠」が新たに設けられました。この記事では、新型コロナ対策の「特別枠」を重点的に「ものづくり補助金」の概要を解説します。
対象となる事業者
対象は中小企業者または小規模事業者です。具体的には、下記に当てはまる会社または個人です。
給付金額
補助金額は、100万円~1,000万円です。通常枠では、中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3の給付率ですが、特別枠では一律 2/3となります。補助対象経費は、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費などです。
例えば600万円を使った場合、400万円が補助され200万円が自腹ということになります。補助金額の最低金額は100万円なので、対象経費は最低でも150万円以上(自腹50万円以上)使う必要があります。
ただ、制限もあります。補助対象経費のうち設備投資に単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要です。また、「特別枠」の申請要件として、補助対象経費の1/6以上が、以下の要件に合致する投資であることも必要です。
- A:サプライチェーンの毀損への対応
- 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと
(例:部品調達困難による部品内製化、出荷先営業停止に伴う新規顧客開拓)
- 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと
- B:非対面型ビジネスモデルへの転換
- 非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと
(例:店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンラインによるサービス提供)
- 非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと
- C:テレワーク環境の整備
- 従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること
(例:WEB会議システム、PC等を含むシンクライアントシステムの導入)
- 従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること
新型コロナ対策として、ウェブ通販サイトを構築したり、従業員がテレワークを行うためのシステム投資などを行う場合は、1/6以上の条件は容易にクリアできる基準かと思います。
要件
補助対象経費の内訳以外にも要件が設定されていて、それらを満たす必要があります。これは、新型コロナ対策の「特別枠」特有の要件ではなく、普段の「通常枠」でも設定されている要件です。
簡単にリストアップしておくと、
- 交付決定日から10か月以内に発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが完了すること
- 応募申請時点で補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していること
- 以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していること
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
- 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
(付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)
などがあります。
申請方法
申請は、電子申請システムでのみの受け付けで、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。アカウントの取得には最大2週間程度を要するので、未取得の方は、早めに利用登録を行っておきましょう。
また、申請に必要な書類として、事業計画書(A4で10ページ程度)、賃金引上げ計画の表明書、直近2年間の決算書の添付が必要となります。
応募期間は、令和2年度2次締切の場合、2020年4月20日(月)17時から2020年5月20日(水)17時となっています。
3次締切以降のスケジュールは、
- 3次締切 令和2年8月頃
- 4次締切 令和2年11月頃
- 5次締切 令和3年2月頃
が予定されています。
まとめ
補助対象となる経費を使う場合は、2/3の大きな補助が得られます。是非検討してみて下さい。
なお、今回の内容は、ものづくり補助事業公式ホームページを参考にまとめています。
また、公募要領は下記に詳細があります。