中小企業診断士 2次試験の事例IV では、第1問で経営分析や財務分析が問われます。
この問題をいかに早く正確に解くかが、事例IV でのひとつのポイントとなります。
理由は 3つ。
- 経営分析や財務分析が毎年出題されており、対策しやすい
- 対策しやすいので得点源にできる(他の受験生をできるので落とすわけにはいかない)
- 第1問を確実に解き、第2問以降を解くための時間と心の余裕を作る
経営分析や財務分析が毎年出題されており、対策しやすい
事例IV は、キャッシュフローや正味現在価値、回収期間の計算など、出題されるテーマがある程度決まっています。
ただ、その中のどれが出題されるかはわかりません。
しかし、第1問では、確実に経営分析や財務分析が問われます。
出題されることが分かっているテーマなら、マスターしておくことは当たり前ですね。
対策しやすいので得点源にできる
経営分析や財務分析は、確実に出題されることが分かっていて、かつ、対策できます。
答えに解釈がある問題ではなく、正解が決まっている科目です。
どの指標を選ぶか、には複数の解釈が別れる可能性がありますが、妥当性のある指標を選べばゼロ点ということはないでしょう。
ただ、確実に出題されるため、他の受験生も対策してくるはずです。
2次試験は、一応 240点以上が合格となっていますが、合格者数を 1,000人前後に調整するために相対評価という噂もあります。
相対評価なら、他の受験生ができている問題を落とすわけにはいきません。
第1問を確実に解き、第2問以降を解くための時間と心の余裕を作る
事例IV は、時間との勝負です。
第1問以降には、より複雑な計算が必要な問題が出題されます。
第2問以降の難しい問題を解くための時間と心の余裕を作るためにも、第1問を確実かつ迅速に解くことが重要です。
損益計算書、貸借対照表から収益性、安全性、効率性を素早く計算する方法
収益性分析
まずは、収益性分析を行います。
収益性分析は、損益計算書を縦に計算していくだけなので簡単ですね。
例えば、次のような項目です。
- 売上原価率
- 売上高総利益率
- 売上高販売費及び一般管理費率
- 売上高営業利益率
- 売上高経常利益率
試験問題の与件文や図表に、販売費及び一般管理費の内訳についての記載がある場合は、そこに解答が関係している可能性が高いため、忘れず計算します。
- 売上高人件費率
- 売上高広告宣伝費
収益性分析を効率的に行うための計算器の使い方
これらの指標は、<各値> ÷ 売上高 × 100 で求められます。
例えば、
売上高総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
です。
計算しやすいように少し変形すると、<各値> × (100 ÷ 売上高) となります。
そこで、共通の (100 ÷ 売上高) をあらかじめ求めれば、各値をかけるだけで求める指標が求まります。
まず、[100][÷][売上高][=] と入力し、[M+] を押して記録します。
次に、[各値][×][MR][=] と押して値を求め、問題用紙の各値の横にメモします。
あとは、[各値][×][MR][=] を繰り返すだけです。
[C] で値をクリアする必要もありません。収益性分析を効率的に行う操作例
では、令和元年の事例IV の問題で解いてみましょう。
前期の売上高は 4,576 なので、[100][÷][4576][=] と入力し、求められた 0.02185314685 を [M+] を押して記録します。
そのまま、前期の売上原価の 3,702 を入力し、[×][MR][=] と押して値を求め、メモします。
続いて、売上総利益の 874 を入力し、[×][MR][=] と押して値を求め、メモします。
続いて、販売費及び一般管理費率の 718 を入力し、[×][MR][=] と押して値を求め、メモします。
続いて、営業利益の 156 を入力し、[×][MR][=] と押して値を求め、メモします。
と、繰り返します。
当期についても同じです。
求まった数字を見て、改善しているのか悪化しているのかを 〇 × 判定して、収益性分析は完了です。
安全性分析
次は、貸借対照表に移り、安全性分析を行います。
例えば、次のような項目です。
- 負債比率
- 自己資本比率
- 流動比率
- 当座比率
- 固定比率
- 固定長期適合率
安全性分析を効率的に行うための計算器の使い方
安全性分析については、各指標の計算式に共通部分がなく、計算器のメモリー機能で効率化できません。
流動比率の流動資産、当座比率の当座資産などは、貸借対照表にその値が書いておらず、自分で計算が必要な場合があります。
その点に注意して計算していきましょう。
効率性分析
次は、損益計算書と貸借対照表から、効率性分析を行います。
例えば、次のような項目です。
- 売上債権回転率
- 棚卸資産回転率
- 固定資産回転率
- 有形固定資産回転率
効率性分析を効率的に行うための計算器の使い方
これらの指標は、売上高 ÷ <各値> で求められます。
例えば、
売上債権回転率 = 売上高 ÷ 売上債権
です。
そこで、共通の” 売上高” をメモリーに保存しておき、何度も打つ手間を省きます。
まず、[売上高] を入力し、[M+] を押して記録します。
次に、[MR][÷][各値][=] と押して値を求め、問題用紙の各値の横にメモします。
あとは、[MR][÷][各値][=] を繰り返すだけです。
効率性分析を効率的に行う操作例
では、令和元年の事例IV の問題で解いてみましょう。
前期の売上高は 4,576 なので、[4576][M+] を押して記録します。
そのまま、[÷]を押し、前期の売上債権の 876 を入力して値を求め、メモします。
続いて、[MR][÷]を押し、棚卸資産の 966 を入力して値を求め、メモします。
続いて、[MR][÷]を押し、固定資産の 3,673 を入力して値を求め、メモします。
続いて、[MR][÷]を押し、有形固定資産の 3,063 を入力して値を求め、メモします。
と、繰り返します。
当期についても同じです。
求まった数字を見て、改善しているのか悪化しているのかを 〇 × 判定して、効率性分析は完了です。
収益性分析、安全性分析、効率性分析 まとめ
あとは、より問題点や改善点に焦点を当てた絞り込んだ値を、与件文の内容も加味しながら選択し、解答欄に順番や単位を間違えずに記入するだけです。
経営分析や財務分析の文章記入も併せて、できれば 20分以内を目指すとよいでしょう。
計算は練習あるのみなので、筋トレと思って毎日トレーニングしましょう。